遺留分減殺請求(遺留分侵害額請求)

遺留分とは

遺留分とは、相続人が最低限受けとることが保証された相続割合のことをいいます。


被相続人は、遺言により、相続財産を誰に取得されるかを定めることが出来ます。たとえば、父親A、母親B、長男C、次男Dという家族において、父親Aが、全ての財産を長男Cに相続させるという遺言を残すことができます。


しかし、この遺言では、母親B、次男Dは、何も、相続財産を取得することが出来ません。このような場合に、B、Dが、遺留分減殺請求をすれば、最低限の相続財産を取得できます。


このように、遺留分の制度は、相続人に最低限の相続財産を取得する権利を保障したものといえます。



遺留分に関するご相談は、TKY法律事務所にお任せ下さい。

初回無料法律相談を行っておりますので、お気軽にご相談下さい。

遺言の確認方法

被相続人が公正証書遺言を残していた場合、一定の場合は、相続人は、相続開始後、公証役場で、公正証書遺言が作成されていないかを確認する事が出来ます。【遺言検索システム 昭和64年1月1日以降の公正証書遺言が対象】

自筆証書遺言の場合は、令和2年7月10日より、法務局に自筆証書遺言を保管してもらう制度が出来ております。この制度を被相続人が利用していた場合には、相続人は法務局で遺言を確認することが出来ます。▻自筆証書遺言保管制度

ただ、この制度を利用する義務はありませんので、公正証書遺言のように、自筆証書遺言があるかどうかを確認するのは簡単ではありません。ただし、自筆証書遺言保管制度を利用していない自筆証書遺言は、家庭裁判所で検認という手続を経なければ、登記手続や銀行預金の払戻は困難ですので、検認手続の際に相続人に通知がなされることによって、自筆証書遺言の存在を知ることになるのが通常です。

遺留分権利者は

遺留分は、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められております。子の代襲相続の場合は、代襲相続人にも遺留分は認められます。


遺留分の割合は次のとおりです。
直系尊属のみが相続人である場合相続財産の3分の1
それ以外の場合相続財産の2分の1

遺留分の具体例

《父親A、母親B、長男C、次男Dという家族において、父親Aが、全ての財産を長男Cに相続させるという遺言を残した場合》
この場合、「直系尊属のみが相続人」の場合にはあたりませんので、遺留分の合計は、相続財産の2分の1となります。

そして、法定相続人は、妻B、長男C、次男Dで、法定相続分はB(2分の1)、C(4分の1)、D(4分の1)です。従って、遺留分は、B(4分の1)、C(8分の1)、D(8分の1)となります。

この事例では、B、Dは、遺留分を侵害されていますので、Cに対し、遺留分減殺請求権を行使することが出来ます。

遺留分には時間制限があります

遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から、1年間行使しないときは、時効によって消滅します(民法1042条前段)。

また、相続開始の時より10年を経過したときも、消滅します(除斥期間)。

このように、遺留分減殺請求権は、時間が経過すると消滅しますので、遺留分を主張しようとされる場合には、内容証明付郵便で、権利行使の意思表示をする必要があります。

遺留分の権利を行使することをお考えの場合は、なるべく早く、弁護士にご相談されることをお勧め致します。

「相続開始及び遺留分を侵害する遺贈等があったことを知った」とは

「知った」とは、当該遺贈等が具体的現実的に遺留分を侵害したことまで知ったことが必要である(大審院昭和13年2月26日判決)とされています。

ただ、1年間の時効期間がいつからスタートするかという争点が生じないように、可能な限り、相続開始から1年以内に遺留分侵害額請求の通知を送ることをおススメします。

大事な通知書になりますので、この段階より、弁護士に依頼されることをおススメします。

遺留分制度の改正(2019年7月1日施行)

今般、相続法が改正され、2019年7月1日以降に発生した相続についての遺留分制度が変わりました。

改正の大きな点は、遺留分を侵害された者は、遺贈や贈与を受けた者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の請求をすることができるようになりました。

改正以前は、遺留分減殺請求権を行使すると、減殺の対象が不動産の場合、話合いで解決できない場合は、裁判所に遺留分減殺を原因とする持分移転登記を請求することになります。減殺を受ける方が金銭を支払う事での解決を主張した場合(価格弁償の抗弁)は金銭での解決になりますが、このような主張がなされない場合は、不動産が共有状態となり、遺留分減殺請求訴訟を提起しても最終解決とならず、その後共有物分割請求の訴訟などを検討する必要がありました。

2019年7月1日以降の相続に関しては、こうした点が改正され、遺留分減殺請求権を行使すると遺留分侵害額に相当する金銭債権が生ずるという制度となりました。

法定相続人に対する生前贈与について

改正前の法律では、法定相続人に対する生前贈与については、期間の制限なく、何十年前の生前贈与であっても、特別受益として、遺留分算定の基礎となる財産に加える(持ち戻す)ことになっていました(最高裁平成10年3月24日判決)。

これに対して、改正後の法律では、法定相続人に対する生前贈与については、相続開始の10年前の日より前になされた生前贈与について、特別受益として、遺留分算定の基礎となる財産に加える(持ち戻す)ことになりました。但し、生前贈与の当事者双方が、遺留分権利者の権利を侵害することを知っていた場合は、10年前の日より前になされた生前贈与についても、持ち戻しの対象となります。

【民法第1044条】
1 贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、1年前の日より前にしたものについても、同様とする。
2 第904条の規定は、前項に規定する贈与の価額について準用する。
3 相続人に対する贈与についての第1項の規定の適用については、同項中「1年」とあるのは「10年」と、「価額」とあるのは「価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る。)」とする。

遺留分制度の改正の要点】(2019年7月1日以降の相続が対象) ※法務省ホームページより
 ⑴ 遺留分減殺請求権の行使によって当然に物権的効果が生ずるとされている現行法の規律を見直し,遺留分に関する権利の行使によって遺留分侵害額に相当する金銭債権が生ずることにする。
 ⑵ 遺留分権利者から金銭請求を受けた受遺者又は受贈者が,金銭を直ちには準備できない場合には,受遺者等は,裁判所に対し,金銭債務の全部又は一部の支払につき期限の許与を求めることができる。
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